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所属団体 | 近畿税理士会 左京支部 |
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登録番号 | 第121527号 |
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国税庁は令和4年8月1日に「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正案に対する意見公募手続きの実施についてという文書を発表しています。こちらの内容については以前から問題になっていた「新分野の経済活動に係る所得」「副業に係る所得」について、雑所得の範囲を明確に区分する内容になっています。例えば、給与所得者が副業などで行っている事業所得を通じ、事業所得で生じた損失を給与所得と損益通算する行為について、一定の要件に該当する場合は制限を設けられることになります。また、要件の一つにその所得に係る収入金額について300万円を超えるか超えないかという具体的な金額が明示されています。
なお、国税庁は令和4年10月7日に修正案を公表しています。修正案は、一定の帳簿書類を保存していること、その他一定の要件に該当すれば事業所得として取り扱うことができる旨の内容になっています。
1.その他雑所得の範囲の明確化
その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいう。)の範囲、譲渡所得の起因とならない資産の譲渡から生ずる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得及び山林の譲渡による所得を除く。)が含まれることを明確化します。
2.業務に係る雑所得の範囲の明確化
業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得として取扱うこととします。
改正後の所得税基本通達の取扱は、令和4年分以後の所得税について適用します。
(注)アンダーライン部分が改正部分
改 正 後 | 改 正 前 |
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(その他雑所得の例示) 35-1 次に掲げるようなものに係る所得は、その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいう。)に該当する。 (1)~(11)省略 (12)譲渡所得の起因とならない資産の譲渡から生ずる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得及び山林の譲渡による所得を除く。) | (雑所得の例示) 35-1 次に掲げるようなものに係る所得は、雑所得に該当する。 (1)~(11)同左 (新設)
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(事業に係る雑所得の例示) 35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得とする。 (1)~(6)省略 (7)営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得 (8)省略 (注)事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか出判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。 | (事業から生じたと認められない所得で雑所得に該当するもの) 35-2 次に掲げるような所得は、事業から生じたと認められるものを除き、雑所得に該当する。 (1)~(6)同左 (7)不動産の継続的売買による所得 (8)同左
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(注)アンダーライン部分が修正部分
修 正 後 | 修 正 前 |
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(その他雑所得の例示) 35-1 次に掲げるようなものに係る所得は、その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいう。)に該当する。 (1)~(12)省略 | (雑所得の例示) 35-1 次に掲げるようなものに係る所得は、その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいう。)に該当する。 (1)~(12)同左 |
(事業に係る雑所得の例示) 35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得とする。 (1)~(8)省略 (注)事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。 | (事業に係る雑所得の例示) 35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。 (1)~(8)同左 (注)事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。
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今回の改正案は、副業などを利用し他の所得と損益通算するという租税回避行為を封じるためのものと考えられます。ただし、業務に係る雑所得になるかどうかについては、個々の取引内容を考慮して判断する余地が残っているものと思われます。
また、事業所得でなく業務に係る雑所得となった場合には、以下の制度について適用ができなくなります。
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